一般的に「 現金 」というと、硬貨や紙幣といった通貨を指しますが、簿記上は、「 通貨代用証券（つうかだいようしょうけん） 」も現金として処理します。
通貨代用証券には、「 他人振出の小切手 」、「 送金小切手 」、「 郵便為替証書 」などがあります。
C社に商品100円を売り上げ、代金はC社振出の小切手で受け取った。
| 現金 | 100 | 売上 | 100 |
C社の売掛金100円の回収として、郵便為替証書を受け取った。
| 現金 | 100 | 売掛金 | 100 |
帳簿に記録した現金の残高の「 帳簿残高（ちょうぼ残高 」と実際の現金の残高の「 実際有高 （じっさいありだか）」が一致しないことがあります。
帳簿残高と実際有高との不一致を現金過不足（げんきかぶそく）といいます。
現金過不足は、一時的に処理する勘定科目のため、資産、負債、資本、収益、費用のいずれにも該当しません。
現金の帳簿残高が100円のところ、実際有高は80円でだった。
| 現金過不足 | 20 | 現金 | 20 |
現金の帳簿残高が100円のところ、実際有高は110円だった。
| 現金 | 10 | 現金過不足 | 10 |
| 水道光熱費 | 10 | 現金過不足 | 10 |
現金の過剰額10円を現金過不足勘定の貸方に記入していたが、このうち5円は売掛金の回収額であることが判明した。
| 現金過不足 | 5 | 売掛金 | 5 |
普通預金の預け入れや引き出しは、「 普通預金【資産】 」で、定期預金の預け入れや引き出しは「 定期預金【資産】 」で処理します。
普通預金口座に現金100円を預け入れた。
| 普通預金 | 100 | 現金 | 100 |
定期預金口座に現金100円を預け入れた。
| 定期預金 | 100 | 現金 | 100 |
普通預金口座に現金100円を引き出した。
| 現金 | 100 | 普通預金 | 100 |
定期預金口座から普通預金口座に100円を預け替えた。
| 普通預金 | 100 | 定期預金 | 100 |
A銀行の普通預金口座に100円、B銀行の普通預金口座に200円を預け入れた。
| 普通預金A銀行 | 100 | 現金 | 100 |
| 普通預金B銀行 | 200 | 現金 | 200 |
当座預金とは、預金を引き出すときに小切手を使い、利息がつかない預金です。
A社はB銀行と当座取引契約を結び、当座預金口座に現金100円を預け入れた。
| 当座預金 | 100 | 現金 | 100 |
A社はB社に対する買掛金100円を支払うため、小切手を振り出した。
| 買掛金 | 100 | 当座預金 | 100 |
A社はB社に対する売掛金100円について、C社振出の小切手で受け取り、ただちに当座預金口座に預け入れた。
| 当座預金 | 100 | 売掛金 | 100 |
A社はC社に対する売掛金100円について、以前にA社が振り出した小切手で受け取った。
| 当座預金 | 100 | 売掛金 | 100 |
通常、当座預金の残高を超えて当座預金をひきだすことはできないが、銀行と当座借越契約（とうざくりこしけいやく）を結んでおくと、一定額までは当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことができます。
当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことを、「 当座借越 」といいます。
当座預金の処理について、「 当座預金 」と「 当座繰越 」の2つの勘定科目をつかって処理する方法を「 二勘定制 」といいます。
また、「 当座 」という勘定科目のみで処理する方法は、「 一勘定制 」といいます。
与えられた資料の勘定科目一覧に「 当座 」があれば「 一勘定制 」、なければ「 二勘定制 」で処理します。
A社は買掛金120円を小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の残高は100円だったが、A社は取引銀行と借越限度額500円の当座借越契約を結んでいる。
| 買掛金 | 120 | 当座預金 | 100 |
| 当座借越 | 20 |
A社はB銀行の当座預金口座に現金200円を預け入れた。おな、A社はB銀行と借越し限度額300円の当座借越契約を結んでおり、当座借越の残高は20円だった。
| 当座借越 | 20 | 現金 | 200 |
| 当座預金 | 180 |
A社は買掛金120円を小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の残高は100円であったが、A社はB銀行と借越し限度額300円の当座借越契約を結んでいる。（一勘定制）
| 買掛金 | 120 | 当座 | 120 |
日常発生する細かい支払に備えて、各部署に少額の現金を手渡ししておきます。
この現金のことを「 小口現金（こぐちげんきん） 」といいます。
小口現金を管理する各部署の担当者を「 小口係 」といいます。また、企業全体の資金を管理する人を会計係といいます。
一定期間（1週間や1か月）後に小口係からの支払い報告に基づいて、使った金額だけ補給するという方法がとられます。
このように一定の小口現金を前渡ししておくことを「 定額資金前渡法（ていがくしきんまえわたしほう） 」（インプレスト・システム）といいます。
定額資金前渡法により、会計係は小口係に小口現金1000円を小切手を振り出して前渡しした。
| 小口現金 | 1000 | 当座預金 | 1000 |
小口係はバス代400円、ハガキ300円、文房具代200円を小口現金から支払った。
| 仕訳なし |
会計係は小口係から以下の支払報告（合計900円）を受けた。（バス代400円、ハガキ代300円、文房具代200円）
| 旅費交通費 | 400 | 小口現金 | 900 |
| 通信費 | 300 | ||
| 消耗品費 | 200 |
会計係は小口係に小切手900円を振り出して小口現金を補給した。
| 小口現金 | 900 | 当座預金 | 900 |
会計係は小口係から以下の支払い報告（合計900円）を受け、ただちに小切手を振り出して小口現金を補給した。
（バス代400円、ハガキ代200円、文房具代200円）
| 旅費交通費 | 400 | 当座預金 | 900 |
| 通信費 | 300 | ||
| 消耗品費 | 200 |
| 支払項目 | 勘定科目 |
|---|---|
| バス代、電車代、タクシー代、宿泊費 | 旅費交通費【費用】 |
| ハガキ代、切手代、電話代 | 通信費【費用】 |
| 文房具代、コピー用紙代 | 消耗品費【費用】 |
| 電気代、ガス代、水道代 | 水道光熱費【費用】 |
| お茶菓子代、新聞代、その他どの区分にも該当しない支払 | 雑費【費用】 |